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南座出演レポート

八月もお盆を過ぎました。みなさま暑さのお見舞い申し上げます。

現在南座に出演中の藤間勘知恵さんより、南座のレポートが届きました。
当会では、会員のみなさまの活動や宗家の仕事の様子など 随時更新していく予定です。
第一弾となる南座レポートです。どうぞご一読頂けたらと思います。

南座超歌舞伎現場レポート

はじめまして、宗家藤間会 実行委員の藤間勘知恵と申します。
この度、ご宗家に勉強の機会をいただき「八月南座超歌舞伎」に1ヶ月間出演する運びとなりました。大変貴重な機会を与えて下さいましたご宗家に深く御礼申し上げます。

「八月南座超歌舞伎」の見どころは、古典歌舞伎に現代の日本が誇る最新技術が融合した、まさに¨超¨歌舞伎であり、その作品が、南座で上演されるというところにあります。
今回、獅童さんの相手役の女形を勤めて頂くのは、2次元アイドルとして人気を博している初音ミクさんです。南座初お目見えのミクさんの出演により、普段の歌舞伎公演では起こり得ないような、スタンディングがあったり、またペンライトを振っての大向こうなどが自然にかかり、作品がお客様の参加によって完成されていくようで、コンサートライブのようにお客様と出演者が一体となって舞台を作り上げていくのが、これまでの公演とはひと味違い、令和という新たな時代に相応しい公演であると、出演者ながら実感しております。

今回の南座超歌舞伎では『超歌舞伎のみかた』、『當世流歌舞伎踊(いまようかぶきおどり)』、『今昔饗宴千本桜(はなくらべせんぼんざくら)』の三幕から成ります。
申し遅れましたが、私が頂いたお役は、當世流歌舞伎踊の女歌舞伎として、また、今昔饗宴千本桜に桜の精として出演させていただいております。

まず、『超歌舞伎のみかた』では、中村蝶紫さん、澤村國矢さんのお二人がお客様を舞台上に呼び込み、超歌舞伎の映像技術や大向こうの声かけを体験していただけるようになっており、超歌舞伎ならではの技術をわかりやすく説明しておられました。

続いて『當世流歌舞伎踊』では、出雲のお国の扮装姿で現れた初音ミクさんと、名古屋三山役の獅童さんや、女歌舞伎として、女流の舞踊家の方々が華やかに舞い、私も未熟ながらその中に参加させていただいています。
この歌舞伎舞踊はご宗家が今回のために新作として作られたものです。最後の総踊りは覚えるのに大変苦労しましたが、ノリの良い音にぴったりで踊っていてとても楽しく勉強になりました。

最後は『今昔饗宴千本桜』。幕張メッセのニコニコ超会議の時に新作として披露されたもので、初音ミクさんの「千本桜」という有名な楽曲と、古典歌舞伎の「義経千本桜」から作られました。
ツケや三味線の下座音楽が鳴り響く中、NTTさんによる最新映像技術を使い白虎忠信の分身の技が使われたり、一方で梯子を使った大立ち回りや、宙乗りなど古典らしい演出も余すところなくあり、そして、カーテンコールでのスタンディングは、ご来場のお客様が幕が閉じる最後の最後まで楽しんでるいらっしゃる様子がたっぷりと伝わってきました。なんと、今回は最後のカーテンコールは写真撮影が許可されているため、劇場を所狭しと駆け回る獅童さんを始め出演中の役者さん、また劇場の熱気をお客様たちが写真に収められている様子も毎日拝見しております。

 


獅童さん宙乗りの一場面

獅童さんが口上にて
「歌舞伎は元々庶民の娯楽でした。大向こうの始まりもヤジからと言われています。皆様もご自由に声を出して、ペンライトを振って楽しんでください!」と仰っておられましたが、
ご来場のお客様老若男女、性別問わず、みなさまが笑顔でペンライトを振っている様子は舞台上から見ていて大変嬉しい光景です!
カーテンコール 。ペンライトを振りながらお客様が応えていらっしゃいました。

出演者としては、新時代を象徴するような歌舞伎の舞台に立たせて頂く事を大変ありがたく感じながらも、一方で歌舞伎の舞台に女性が立つということ、またそれが南座という劇場であることにもプレッシャーを感じる日々でもあります。
残りのわずかとなりましたが、最後まで全力で駆け抜けたいと思います。

ご宗家と、ご出演の女流舞踊家のみなさまたちと初音ミクさんを囲んでの記念写真。

着到板。劇場に着くと、自分に名前に赤いピンをつけます

次回は、この夏に沢山の自主公演が行われておりますので、その中でいくつかのレポートや
8月の歌舞伎座の宗家振付の作品の事について掲載予定です。お楽しみに!

 

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